超音波画像を使ったアプローチの可能性

 これまでエコー機器は高額で、容易に入手できるものではありませんでしたが、近年、ポケットエコーなどの比較的安価な機器が登場し、臨床現場での活用が現実的になってきました。




 私たちは患者さんの評価を行う際、肉眼では確認できない組織の状態については、仮説に基づいた評価と治療を繰り返すしかありませんでした。





 さて、エコーは肉眼では確認できない組織をリアルタイムで可視化し、対象を定めて治療を進めることを可能にする機器です。





 エコーを用いた研究は増加傾向にあり、特に今回着目した先行研究は、筋の厚さだけでなく、収縮時の長さの測定方法を明らかにした点が画期的でした。




 下記の図は、呼吸を伴う腹部の筋活動であるドローインを行う際の、腹横筋(TrA)の動きをエコーで測定したものです。黒矢印は筋厚、黒点は筋長の測定点を示しています。


 

 このように、対象筋にエコーを照射し治療を行うことで、治療効果の向上だけでなく、患者さんの自主トレーニングの質的向上も期待できます。




 自主トレーニングでは、患者さんが治療者からの指示をどの程度理解し、正しく実行できているかを確認することが困難なことが多いです。






 エコー機器の導入によって、これらの課題を解決できる可能性が高まります。





 当院では、信頼性の高い治療を提供するため、エコー機器の導入・活用に向けた検討を進めています。




引用文献
 Jhu JL, Chai HM, Jan MH, Wang CL, Shau YW, Wang SF. Reliability and relationship between 2 measurements of transversus abdominis dimension taken during an abdominal drawing-in maneuver using a novel approach of ultrasound imaging. J Orthop Sports Phys Ther. 2010 Dec;40(12):826-32. doi: 10.2519/jospt.2010.3000. Epub 2010 Dec 10. PMID: 21169715.

コメント

このブログの人気の投稿

論文掲載のお知らせ!The new potential and prospects of leisure activities of older adults individuals during the COVID-19 pandemic in Japan on health-span: From the perspective of a scoping review

当店スタッフがスプリント作成の講義をしてきました。

超音波が明らかにした筋膜の視点:皮下組織と筋肉の「独立運動」