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「揺する」ことの効果について

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  筋膜リリースの方法には、道具を使用したり、セラピストの肘や手首、ときには足を使ってアプローチをすることがあります。  当店では、整形疾患・脳卒中疾患の患者さんに、「揺する」方法を用いています。  「揺する」ことで、患者さんの関節可動域の拡大や筋緊張の緩和等が得られていることから、リラクセーション効果をもたらす可能性があると考えています。  揺することの効果を検証した研究はまだまだ少ないようですが、これらの効果の要因として、胎児がお腹の中にいるときの「揺れ」と羊水によって刺激される産毛の「揺れ」を思い出しているのではないかという考えがあるようです(久住、2018)。  Hebbの仮説によると、反射と随意運動、筋緊張、腱等は、律動的な活動の機能であると言われており、構造的組織の物理的緊張も、位相性脱分極の状態によって決定されるといわれています (Robert,2015) 。非常に難しい表現でわかりにくいですが、私はこれらが固定されたものではなく、次から次へと出来事(動き)が起こり、その結果として組織も変化していくものである、と理解しています。   つまり、揺することで周期的な感覚運動経験が得られ、リズミカルに機能しているシステムに働きかけることになる、という仮説を挙げています。  研究を行ううえでは、揺することの強さや揺するタイミング、大きさ、幅等の調整をどのような基準にするかが求められそうです。実験における妥当性と信頼性を担保するには、高水準の設定が必要になり、とてもハードルが高そうです。  もちろん、患者さんの身体の状態や身体の大きさによっても適切な刺激量が変わることも推測されます。  この「揺する」効果について、文献研究で追いかけつつ、臨床で発見できたことを改めてシェアさせて頂きたいと思っています。

当店スタッフの論文がJournal of Ergonomic Technologyに掲載されました。

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  この研究は、抗ストレス状態を表すレジリエンスの指標とリラクセーション指標との関係性および、これらの指標において看護師、リハ職、介護職の違いを明らかにしたものになります。  結果としては、看護師のレジリエンスが最も低いことがわかりました。24時間患者にかかわる看護師と協調して患者にアプローチをしていくためには、看護師の心理状態も把握することも大切なことがわかります。    この研究の対象は医療・介護従事者でしたが、身体との強い関連性が示されている患者のストレスを把握する手段としても、今後の臨床現場で活用する意義があると思います。  今後は、さまざまな対象者に本研究で検証したツールの妥当性と信頼性を検討し、簡潔にレジリエンスの状態がわかるようになると、アプローチの工夫や広がりが期待できそうです。  また、レジリエンスはリラクセーションと関連する可能性もみえてきました。  リラクセーションの方法や考えは多様にあるため、現段階で具体的なアプローチについて言及できませんが、レジリエンスの高める一つの視点の方向性を示唆したものとなります。  引き続きエビデンスに基づいたアプローチの実践ができるよう、研究にも力を入れていきたいと思っています。 論文: Comparison of resilience level among occupations and the relationship between resilience and relaxation in our recovery rehabilitation ward: a pilot study