この度、当店スタッフが執筆した論文「The new potential and prospects of leisure activities of older adults individuals during the COVID-19 pandemic in Japan on health-span: From the perspective of a scoping review」(邦題:COVID-19 パンデミック下における日本の高齢者の余暇活動と健康寿命:スコ-ピングレビュ-による考察)が、Studies in Science and Technologyに掲載されました! 高齢化社会が進む中、健康寿命の延伸は重要な課題となっています。本論文では、COVID-19 パンデミックによる社会距離化が、75 歳以上の高齢者の余暇活動にどのような変化をもたらしたかについて、スコピングレビューを用いて分析したものになります。 研究の結果、社会距離化の影響を受けにくかった余暇活動として、ゲーム、体操、スマートフォン等を用いたビデオ通話、メールなどが挙げられました。これらの活動は、デジタル技術といった新たな生活様式の一部となり、より多くの高齢者の健康増進に繋がる可能性が示唆されています。 さらに、本論文では、COVID-19 パンデミック下における高齢者の余暇活動に関する研究の不足や、高齢者の属性を考慮した分析の重要性も指摘しています。 まだまだ課題は山積みではありますが、この研究成果は、高齢者向けの健康度の指標となりうる、重要な知見です。 引き続き今後の研究活動にもご期待ください。 論文URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/sst/13/2/13_115/_article/-char/ja
体の深部、特に筋膜がどのように動いているかを想像することは決して簡単ではありませんでした。 超音波エコーを用いた最新の研究によって、筋膜の新たな側面について明らかになっている研究がありました。 筋膜リリースの評価 長年、筋膜リリースは経験則や感覚に頼る部分がありました。 過去のブログで挙げたように、近年、超音波検査技術の進歩により、筋膜の動きをリアルタイムで可視化できるようになっています。 今回紹介する研究では、超音波エコーを用いて、腰部の皮下組織と多裂筋(腰部の深い筋肉)の動きを詳細に分析しました。 新たな視点:独立して動く皮下組織と筋肉 この研究によると、超音波画像によって、皮下組織と多裂筋が、必ずしも一体となって動いているわけではないことが示されています。 特に、特定の介入(例えば、ローラーマッサージ)を行うと、皮下組織と多裂筋の動きがより独立して動くようになることが確認されました。 これは、組織間の滑走が改善され、筋膜の非運動性が軽減されたことを示唆しています。 つまり、組織の独立した動きがない=組織間の滑走がないということは、動きが悪くなっているという理解ができますね。両者の動きが独立することが、より良い状態であることが示唆されています。 独立した動きがもたらす効果 皮下組織と筋肉が独立して動くようになることで、何が変わるのでしょうか? 研究では、腰部の柔軟性や体幹筋力の向上といった効果が確認されています。 これは、筋膜の滑走性の向上によって、筋肉がより効率的に機能できるようになったためと考えられます。 図:下記論文から引用 超音波検査技術の進歩によって、私たちは筋膜の動きをより深く理解できるようになりました。 エコーの見方として、皮下組織と筋肉の「独立した動き」という視点を取り入れることで、筋膜リリースの効果を正しく判定することができそうですね。 引用文献: Nakai Y, Oe K, Matsuno R, Kiyama R, Kawada M, Takeshita Y, Miyazaki T, Araki S. Effect of Self-Myofascial Release of the Lower Back on Myofascial Gliding, Lumbar Flexibility, and Abd...
この度、当店スタッフが執筆した論文「Literature Review on Professional Identity of Occupational Therapists in Japan -Through scoping review-」が受理されました! この研究は、日本の作業療法士のアイデンティティに関する文献の研究を行ったものです。 アイデンティティとは、単なる社会的役割や好悪、性別、年齢によるものではなく、それらが複雑に絡み合い、時間や状況によって常に変化する流動的な存在と言われています。 人は、アイデンティティを確立するために様々なものを消費する、という エックハルト・トール の指摘は、私たちが「概念化された現実」に囚われやすいことを示唆しています。 しかしながら、真のアイデンティティは、そのような表面的な満足感ではなく、より深い自己理解と自己受容の上に成り立つのではないかと考えられます。例えば、高級車や高級腕時計、流行りの服を消費し、モノを通じて自分自身を発見しようとする行為は、真の自己探求とは異なる、一時的な満足感に過ぎない可能性があると指摘されています。 当店は作業療法士が在籍していますが、作業療法士という職種は多種多様であり、その多様性ゆえにアイデンティティの揺らぎを感じやすい職業であると言及されています。 近隣領域である看護師や理学療法士との役割がオーバーラップする部分もあり、作業療法士の独立性、専門性が曖昧になり、近隣職種との役割重複による専門性の曖昧化、それに伴うモチベーション低下、ひいてはやりがいの喪失が危惧されています。 それこそ、多様なニーズへの対応に追われ、自己実現感が欠如してしまう点も否めません。 今回採択された論文は、国内における作業療法士のアイデンティティについて、スコピングレビューという手法を用いた文献研究を行ったものです。繰り返しますが、アイデンティティは職業だけでなく、個人の価値観、経験、人間関係など、多様な要素が複雑に絡み合って形成されるものと考えられています。 この研究を通じて、作業療法士という職業は、特に対象者や他職種との相互作用することで、個々の作業療法士のアイデンティティを形作っていると考えられました。 ただし、この研究だけでは作業療法士のアイデンティティについて決定的な結論を導くには...
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