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栄養が筋膜に与える影響

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 身体の様々な部位を繋ぎ、動きをスムーズにする「筋膜」。   この筋膜の健康状態は、私たちの体の柔軟性や姿勢、そしてパフォーマンスに大きく影響します。   しかし、現代人の食生活では、筋膜の健康を維持するために必要な栄養素が不足しているケースが多く見られるといわれています。   栄養バランスの乱れは、筋膜の柔軟性を低下させ、痛みやコリ、動きづらさといった問題を引き起こす可能性が示唆されています。   今回は、Golanska et al. (2021) の研究を基に、筋膜の健康を保つための食事について解説します。   同研究では、栄養のバランス不良が筋膜に悪影響を与える可能性を示しており、植物性の食材を多く摂取すること、そして十分な水分補給の重要性を指摘しています。   ナトリウムとカリウムのバランスにも気を配ることが大切です。   また、研究では、サプリメントよりも実際の食品から栄養を摂取することが重要であると結論づけています。  対象者に適切な栄養指導を行うことで、筋膜の柔軟性向上、痛みの軽減、身体機能の改善といった治療効果が期待できそうですね。  今後の研究では、より具体的な栄養素と筋膜の健康状態との関連性を解明し、より効果的な栄養指導方法を確立していくことが重要だと考えております。   まずは、今日から食事を見直して、筋膜の健康を守りましょう! 引用文献: Golanska P, Saczuk K, Domarecka M, Kuć J, Lukomska-Szymanska M. Temporomandibular Myofascial Pain Syndrome-Aetiology and Biopsychosocial Modulation. A Narrative Review. Int J Environ Res Public Health. 2021 Jul 23;18(15):7807. doi: 10.3390/ijerph18157807. PMID: 34360099; PMCID: PMC8345811.  

超音波画像を使ったアプローチの可能性

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 これまでエコー機器は高額で、容易に入手できるものではありませんでしたが、近年、 ポケットエコー などの比較的安価な機器が登場し、臨床現場での活用が現実的になってきました。  私たちは患者さんの評価を行う際、肉眼では確認できない組織の状態については、仮説に基づいた評価と治療を繰り返すしかありませんでした。  さて、エコーは肉眼では確認できない組織をリアルタイムで可視化し、対象を定めて治療を進めることを可能にする機器です。  エコーを用いた研究は増加傾向にあり、特に今回着目した 先行 研究 は、筋の厚さだけでなく、収縮時の長さの測定方法を明らかにした点が画期的でした。  下記の図は、呼吸を伴う腹部の筋活動であるドローインを行う際の、腹横筋(TrA)の動きをエコーで測定したものです。黒矢印は筋厚、黒点は筋長の測定点を示しています。    このように、対象筋にエコーを照射し治療を行うことで、治療効果の向上だけでなく、患者さんの自主トレーニングの質的向上も期待できます。  自主トレーニングでは、患者さんが治療者からの指示をどの程度理解し、正しく実行できているかを確認することが困難なことが多いです。  エコー機器の導入によって、これらの課題を解決できる可能性が高まります。  当院では、信頼性の高い治療を提供するため、エコー機器の導入・活用に向けた検討を進めています。 引用文献  Jhu JL, Chai HM, Jan MH, Wang CL, Shau YW, Wang SF. Reliability and relationship between 2 measurements of transversus abdominis dimension taken during an abdominal drawing-in maneuver using a novel approach of ultrasound imaging. J Orthop Sports Phys Ther. 2010 Dec;40(12):826-32. doi: 10.2519/jospt.2010.3000. Epub 2010 Dec 10. PMID: 21169715.